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MACKIE DLZCreatorXSレビュー:NDI対応とサブミキサーとしての可能性


タイトル

MACKIE DLZCreatorXSは、小型ながら多機能を備えたミキサー兼オーディオインターフェース。今回デモ機をお借りしてその性能をレビューします。

DLZcreatorXS
一見するとミキサーには見えないDLZCreatorXS。 その小さな筐体には大きな魅力が詰まっている!?

私がこの製品をデモした最大の目的は、オーディオをNDIに変換しWeb中継システムに組み込むこと、加えて配信現場に持ち込めるサブミキサーとしての運用を検討していた為です。本記事では、その観点からこの製品の特徴や実際の使用感、メリット・デメリットを詳しく解説します。



良いポイント:DLZCreatorXSの魅力


1. コンパクトさと見やすさを両立


DLZCreatorXSの最大の特徴は、なんといってもコンパクトなサイズと大画面で見やすいインターフェースでしょう。このサイズ感でありながら、パラメトリックイコライザーを搭載しており、音響環境に合わせたチューニングを可能としております。現場での運用や配信においても、視認性と操作性の高さが活躍します。


DLZCreatorXS
13インチMacBook Air と並べてみた図。 ミキサーとは思えない驚異的なコンパクトさ。

DLZCreatorXS
PEQ付きでチューニングにも対応! この写真だけ見るとコンパクトサイズのミキサーとは思えません。

2. 制限付きながら豊富な入力オプション


入力端子の一部は、以下のような構成です


  • XLR対応のモノラルコンボジャック:2系統

  • フォーン端子のラインインプット:1系統

  • ステレオミニ端子のラインインプット:1系統 他


他には、サンプラー音源やUSB接続されたPCからの音源、SDカードやUSBメモリー内のデータ再生を含みます。


DLZCreatorXS
フォーン端子多めの背面。

出力端子はヘッドホン出力2系統とフォーン端子のラインアウトプットLRが1系統。それとUSBケーブルでPCとの接続を行うことで、オーディオインターフェースとしての役割を果たすこともできます。


この辺りの構成から、大規模な現場で使用するミキサーというよりも、個人でのYoutubeやZoom会議といった小規模な配信での使用を想定されている作りです。



3.ゲーミングPCを思わせるカラフルな色合い


本体各箇所には、ゲーミングPCのようなカラフルなライトアップがあります。これをスタイリッシュと感じる方もいれば、シンプルなデザインを好む方には少々派手に映るかもしれません。デザインはユーザーの好みによります。私は嫌いではありません。笑



微妙なポイント:惜しい部分


1. SoloボタンがPFLではなくAFL


SoloボタンがAFL(アフター・フェーダー・リッスン)仕様となっており、PFL(プリ・フェーダー・リッスン)を必要とする場面ではやや不便に感じます。このミキサーを使用して本格的なPAを行うことは想定されていない故かもしれませんが、個人的に音響ミキサーにはPFLが必須と思っておりますので、ここは惜しいポイントです。


DLZCreatorXS
わかりやすくイラストで表現されているスイッチ。 音響マンなら普通PFLだと思っちゃいますよね?

2. NDI機能の制約


私がこのDLZCreatorXSに興味を持った最大のキッカケはこのNDI機能の搭載を知ったことにあります。本機はNDI Audio in/outに対応しております。つまりネットワークを介して音声信号を取り扱うことができるのです。


ただしIPアドレスの手動設定ができず、DHCPでの割り当てのみ対応という制約がある点はご注意を。ローカルエリアネットワーク内の各機器をIPアドレスの手動設定によってNDIでの結線を希望する私にとって、この点は不都合でした。


DLZCreatorXS
シンプルすぎるネットワークに関するメニュー。 せめてIPアドレスの手動設定ができれば…。

ちなみにIPを叩けばブラウザからネットワークの設定メニューに飛べるのでは?と思われる方がいらっしゃるかと思います。残念ながらIPを叩くと、ブラウザに表示されるのは端末と全く同じメニュー画面。一応、PCから遠隔の操作が行えるようです。この機能(?)を利用してiPadから遠隔操作でEQをいじる的な使い方ができればよかったのですが、iPadからアクセスを行うと何故か挙動が安定しません。


DLZCreatorXS
IPを叩いて現れるのは、何故かミキサーと全く同じ操作画面。


PCのブラウザ上でイコライザーを操作してみる。意外にも操作性は良好。




なぜかiPadだと挙動が安定しません。タッチできない…。

公式にサポートされている機能ではないので仕方ないね。



総評:サブミキサーとしての多機能性に注目

DLZCreatorXSをメインミキサーとして使用するには、チャンネル数が少ない点がネックになりますが、オーディオインターフェース兼サブミキサーとしての性能は非常に優れているように思います。それと制約があるとはいえNDIを使用できるという点は、大きな可能性を秘めたミキサーと言えるでしょう。


現場に持ち込むサブ機材や、個人で活動を行うクリエイターや配信者には、多機能で頼れる製品と言えるでしょう。またあまり音響機材に明るくない初心者から、プロまで幅広く扱えるようにインターフェースが工夫されている点も他のミキサーにはない唯一無二のポイントです。一部仕様に個人的には不満があるものの、今後のアップデートで改善される可能性もあり、全体としては満足度の高い一台です。





DLZ Creator XS

MACKIE マッキー 誰でも最適な設定を行うことのできる日本語対応配信用超コンパクトデジタルミキサー DLZ Creator XS




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音響ミキサー使い方教室

執筆者プロフィール:

知久 陽太(トモヒサ ヨウタ)

UTAO STUDIO 代表

大学時代に音響を学ぶ部活に入部したことをきっかけに音響業界に身を投じる。現在、UTAO STUDIOの代表として、ライブハウスやホテルでの音響業務をはじめ、YouTube配信やZoomウェビナーといったWeb中継業務にも幅広く対応し活躍中。多様なジャンルでの経験を活かし、質の高い音響サービスを提供する一方で、趣味としてDJを行う一面もあり。また、PCを活用した動画編集やデザインにも得意で、クリエイティブな視点での音響制作に力を入れている。




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