業界用語集
映像や音響の現場では、専門的な用語が数多く使われています。初めて現場に入る方や、これから業界を学びたい方にとって、聞き慣れない言葉が飛び交うことも少なくありません。このページでは、そうした業界用語を面白おかしく解説しています。基本的な用語から実践で使われるフレーズまで、ぜひ参考にしてみてください。
※当用語集に掲載されている表現内容は、編者の解釈によるものです。用語の解釈は、地域や組織等によって異なる場合がございます。当用語集は、異なる解釈を使用したその他の著書、サイト等の表現内容を否定するものではありません。
アンビエントマイク
環境音や周囲の音を録音するマイク。ライブ収録やレコーディング、イベント会場などで使用する。空気感や背景音(風の音や街の喧騒)、会場の雰囲気や観客の反応(拍手や歓声など)を収録する為に設置する。
類語 - オフマイク
板付き(いたつき)
押す(おす)
オス口(おすくち)
通称オス。マイクケーブルの突起がある側。
差す側がオス。入れられる側がメスと覚えましょう。
基本的に入力側がメス口。出力側がオス口である場合が多いですが
古めの放送設備や機材の時は、これが逆である場合があるようなので注意。
現場では常識にとらわれていると痛い目を見ることがあります。

お店を広げる
台車等で運んできた搬入した機材の入ったラックやオリコンを一旦床に展開させること。円滑にセッティングが進められるように他スタッフの邪魔にならない場所に展開するように意識をするとよいでしょう。
例文「設営完了したら、こちらのスペースにお店広げてください。」
オリコン
プラスチックでできた折りたたみができる品物入れ。現場では主にケーブルやACタップを大量に入れて運搬するために使用される。空になった時に折り畳むことができるので、設営後にスペースを圧迫しないという利点がある。多くのサイズラインナップがあり、中身が確認できる透明タイプや、 縦に積んだ際に横から取り出しが可能な扉付タイプなどがある。

オンタイム
予定された時間通りに進行・開始すること。
例文「開演はオンタイムで行きます!」
=時間ぴったりに開演するという意味。
オンマイク
マイクと声や楽器などの音源との距離が近い状態のこと。この状態にすることで、音がクリアに録れやすく、ノイズが入りにくい、音量も安定するというメリットがある。ただし、マイクに近づきすぎると、息づかいや「ポッ」という口音(ポップノイズ)が目立つなどのリスクも高まるため、マイクの種類や用途に応じて、音源との距離を調整し、ちょうど良い位置に設置することが大切。
例文「もうちょっとオンマイク気味で喋ってください」
=マイクに近づいて、しっかり音を拾わせてください。
ガッファー
ガッファーテープのこと。照明機材やレフ版の一時的な固定や、劇場やスタジオ、カーペットの床のケーブルの養生などに最適。蛍光色のテープであればライブやコンサート中などの暗所でも視認性が良く、バミリ用のテープとして使うことができる。
がなり
リハーサル時など、主に統括役の方が演者に指示を出すために使うマイクを指す。本番時には使用しないので、がなりマイク兼予備マイクとして1回線を用意しておくと、本番時にトラブルが起きて、マイクが足りなくなった場合等に安心です。
上手(かみて)
ガラ
機材やケーブルを出し終わった後に残るプラ箱等の総称。残滓(ザンサイ)と呼ぶ現場もあるようですが、ガラと呼ぶほうが一般的な気がします。(完全主観)。大きな現場になればなるほど、その数は結構な量になるので、どこにしまうべきかは打ち合わせの際に確認しておくと良いでしょう。
例文「ガラはどの部屋にしまいますか?」
曲先行(きょくせんこう)
57(ごーなな)
Shure製のダイナミック型マイクロホンSM57の呼称。主に楽器用として使用しますが 、ボーカルやトークマイクとしても使用できます。ただし吹かれ(風や息)には注意。個人的にSM58よりも、こちらのほうが好み。理由は形がかっこいいから!
58(ごっぱー)
マイクといえばこれ。どの現場にも必ず1本はある大定番マイクShure製のダイナミック型マイクロホンSM58の呼称。ゴッパ、ゴッパチと呼ぶ方もいます。メジャーなマイクであるが故にか、フリマサイト等では偽物が多く出回っているので、本物のSM58の鑑定方法を知っておくと良いでしょう。

ころがし
返しのモニタースピーカーの中 でも、演者の足元に設置するフロアモニタースピーカーのこと。大学時代音響部に所属していた頃、バンドのボーカルの方から「スピーカーに足のっけてもいいですか?」と聞かれたのが印象的。ロックンローラーに憧れる人はみんなころがしに足を乗っけて歌いたがるという。

下手(しもて)
白をとる(しろをとる)
カメラのホワイトバランスを調整すること。ホワイトバランスとは、照明の色味に応じてカメラが“白”を正しく再現できるように色味を調整する機能で、これにより自然な色合いの映像や写真が得られる。撮影前に白い紙やグレーカードを使って調整する方法が一般的。
例文「白をとりたいので紙を持ってステージに立っていただけますか?」
17inch(じゅうなないんち)
撮影現場で使用される返しモニター「SONY PVM-A170」のこと。主に演者や現場にいる偉い人等に映像を確認してもらう時に使用する。
立ち上げ(たちあげ)
比較的短めのケーブルの総称。厳格な規格があるわけではないので、特に何メートルからが立ち上げとは決まっていない。卓周りで配線を組む際には、長いケーブルを使用すると、かえって邪魔になってしまう為、主に立ち上げを使用します。つまりそれくらいの長さのケーブルの事です。(適当)
TOC(てぃーおーしー)
映像・音響・配信業界のプロフェッショナル向けに、機材レンタルを提供する「東京オフラインセンター」の略称。カメラ、スイッチャー、音響機材、配信機器など、多岐にわたる機材を取り扱っており、業界人が撮影や配信の現場で必要な機材を手軽にレンタルできる場所として広く利用されている。映像・音響業界で機材をレンタルする際には、まず東京オフラインセンターをチェックしてみましょう。
テクリハ
テクニカルリハーサルの略称。主に技術部門が音響、映像、照明等機材の動作チェックのために行う時間。
ドラテ
ドラフティングテープの略称。厚みがあり、粘着力が弱く、簡単にはがせるテープ。使用例としては、SDカードに付箋代わりに貼って収録内容を記載したり、ミキサーやスイッチャーにバミりとして貼る等の用途で使用される。
なめる
カメラアングルに関する表現で、「手前の人物や物を画面の端にぼかして入れつつ、奥の対象を主に撮る」という撮影技法。
例文「手前に田中さんの肩をなめて、奥の会話シーンを抜いてください。」
210(にーいちまる)
ブームタイプのマイクスタンドのこと。スタンドの先にアームが付いているのが特徴。ストレートタイプと異なり角度や長さを自由に調整でき、さまざまなシチュエーションに対応しやすい。ただし、その自由度の高さゆえに調整時に触るべきネジが多く、素早くセッティングするには経験が必要となる。マイクは声を集音するため口元へ近づけることが多いため、演者をスタンドの前に立たせたまま調整を行 う際には、誤って演者の顔や歯にマイクをぶつけないよう注意が必要である。万が一当てて怪我をさせると大きなトラブルにつながるので、扱いには十分気をつけましょう。

259(にーごーきゅー)
ショートタイプのマイクブームスタンドのこと。主にライブ現場でギターアンプやドラムセットの下部にマイクを当てる際に使用されることが多い。
パーマセルテープ
紙製の粘着テープで、主に撮影現場で使用される。糊残りが少なく、貼った後に綺麗に剥がすことができる。「紙素材」のため光の反射率が低いのが最大の特徴で、「テープは見えてしまうが貼らなければいけない箇所」などに使用する事が多い。黒いパーマセルテープを「黒パー」、白いパーマセルテープを「白パー」と略して称される。

8の字巻き(はちのじまき)
音響・映像業界で広く用いられるケーブルの巻き方で、不要なねじれを加えず、絡みにくくすることで取り回しをスムーズにし、寿命を延ばす効果がある。プロの現場では標準的に採用されている習得必須の技術であり、その方法はシンプルながらも奥深く、所作ひとつで現場慣れしているかどうかを見抜かれることも。巻き方だけでなく、巻かれたケーブルの解き方にも注意が必要で、間違った解き方をすると、絡まりが無限に発生するという地獄が待っている。現場デビューしたい方は、まずはこの8の字巻きから覚えるとよいでしょう。
パンダ
映像・音響・配信機材のレンタルサービスを提供する「パンダスタジオ」の略称。業界では東京オフラインセンター(TOC)と双璧をなす存在で、特にライブ配信機材の取り扱いの幅広さが強みです。意外にも配信機材以外にアウトドア用品や家電のレンタルも行っており、幅広いニーズに対応している。全国への配送レンタルにも対応している点も特徴で、用途や機材の種類に応じてTOCと使い分けるのが良いでしょう。
光(ひかり)
ガラス繊維の光ファイバーでつくられたケーブルのこと。主に長距離伝送が可能な光HDMIケーブルを指すことが多い。約10m程度までしか映像伝送することのできない一般的なHDMIケーブルと違い、その通信距離は最大100mまで達する。ただし、非常に高価であることと、耐久性能が低い点、そしてなによりも指す方向に指定がある点に注意。
紐付き(ひもつき)
いわゆる有線マイクのこと。某代理店の進行さんがこの言葉を使用して いるのを一度だけ耳にしましたが、他の現場では聞いたことありません。でも紐付きと言われると何故か「有線マイクのことね!」と分かってしまう謎。
弁ガラ(べんがら)
お弁当の空き容器や残飯。お弁当ゴミは運営スタッフによって、会場備え付けのゴミ箱とは別にまとめられていることが多いため、勝手に会場のゴミ箱に捨てないほうが良いでしょう。
例文「弁ガラはどこにまとめてますかね〜?」
蓋画(ふたえ)
余計なものが映らないようにフタをする静止画像のこと。主にWeb中継のイベントで、開始前やイベント直後にBGMと合わせて表示しておくことが多い。
ブラマジ
カメラ、コンバーター、スイッチャーなどのハードウェアや、編集・カラーグレーディングなどのソフトウェアを提供している総合映像機器メーカーBlackmagic Design(ブラックマジックデザイン)社の略。
例文「カメラとPCの接続はブラマジのキャプチャーを使用します。」
フレキ
フレキシブル・グースネックの略称。ストレートスタンドやブームタイプと比べて調整が簡単で、演者の口元にマイクを持っていきやすいのが特徴。SM58をはじめとするダイナミックマイクは集音範囲がとても狭いため、理想的な距離はマイクから10〜15cmほど。可能であれば手持ちが最適ですが、演題に設置する場合、このフレキシブルなマイクスタンドが役立ちます。私がよく行く現場では、演題に直接取り付けるグースネック本体を「フレキ」と呼んでいます。

ボテ
オリコンのことを指したり。機材やケーブルをまとめている箱の総称のようです。
巻く(まく)
予定より短くなる事。また「急いで進めて!」と指示されることを「巻きが入る」と表現することもあります。声の出せない現場では主演者に進行を急がせる合図として、人さし指を立ててくるくると回すことで「巻き」を表現することがあります
例文「今回質疑応答コーナーの質問がないため10分巻きで終了します。」
幕間(まくあい)
一つの場面が終わって幕が閉められたときから次の幕が開くまでの間。
メス口(めすくち)
通称メス。穴が空いている側のコネクターを指し、弊事務所ではこのメス側を手に持って8の字巻きを行うことを推奨しています。これは、万が一メス側にマイクが接続されたまま巻き始めるとマイクが引っ張られて転倒するリスクがあるためであり、また、メス端子は内部にゴミが入りやすく、異物混入を防ぐためにも適切に扱う必要があるためです。さらに、メス側はマイクに接続される都合上、カメラに映り込む機会が多く、ケーブルを縛ってしまっている現場では捻じれを目立たせないための配慮が求められます。(本当はケーブルタイ等で縛って管理するのが良いんですけどね汗。)加えて、巻き方を統一することで、大規模な撤収作業の際に複数人で長いケーブルを巻く際の「お見合い状態」を防ぎ、スムーズな作業が可能になります。

養生(ようじょう)
① 養生テープのこと。現場での作業性をよくするため、手で簡単に切れるようになっている。ガムテープと違って粘着力が弱めで糊が残りにくいのが特長。とはいえ、貼り付ける素材によっては不具合を起こす可能性もあるので、特に床がカーペットでない場合等には、貼り付ける前に施設管理者に確認を行うことを推奨します。
② ケーブルを引っ掛けられないように覆ったりすること。現場を安全に運用するうえで非常に重要な工程ですが、ケーブルの不具合や回線エラーが起きることを想定して、養生を行うのは回線チェックが終ってからにしましょう。で、ないとせっかく綺麗に行った養生をまた1からやり直す羽目になります。
例文「テクリハ終わったら、ケーブルと電源周りの養生しといて〜。」
ランスルー
本番同様に行う通し稽古のこと。ミスをしたりしてもやり直すことなく最初から最後まで通して行う、より本気度の高いリハーサルのことを言う。確認作業的意味合いの強いリハーサルとは別物で、本番前の最終確認。プロ野球で言うところのオープン戦みたいなもんでしょうか。
リハーサル
略してリハとも。進行を確認するための予行練習。一つ一つ細かい確認をしたり、不明点を無くすことに重きを置く。